臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 梓が悠々と高さで勝ち、六組ボールになる。だが綾香がボールを持った時、服部を除く一組メンバーは既に自陣のディフェンスに戻っていた。ジャンプボールと同時に一組メンバーは自陣に戻っていたのだ。


「ぷっ、服部は信用されてないわね」

 控えの椅子で村田が笑うと、長瀬は苦笑しながら言った。

「あの高さはヤベェよ。俺も勝つ自信は無いしね」



 試合開始から五分が経過したが、六組が四点リードしている。

「リバウンドは麗奈ちゃん半分位しか捕れないよね」

「あれは麗奈だから半分は捕れるのよ。位置獲りで、何とか身長差をカバーしてるからね」

 山根の言葉に亜樹が返す。


「村田……この試合上からパスしてもいいからさ」

 長瀬がポイントカードの村田に言った。

「梓は女の子だよ。女子と競り合いになってもいいの?」

「いや、彼女は男として見るよ。それで競り負けたらハズいだけなんだけどな」

 自重気味に話す長瀬へ、亜樹が話し掛けた。

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