臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「そうだとすると、康平はミスって正解だって事だよ! あのままシュートを決められたら、俺達だけでケーキを食う事になってたからな。……それにしても、あの綾香ってコ可愛いかったよなぁ」

 バレー部の服部もテンションが上がっていた。


 麗奈は意地悪な顔をして二人に言った。

「あんた達、綾香はハードル高いわよ! 彼女はモテるけど、あー見えて筋金入りの奥手だし、それに……」

「それに何だよ?」山崎が突っ込む。

「……いや、何でもないわ。まぁせいぜい頑張んなよ」

「気になる言い方だなぁ」服部と山崎は複雑な表情をした。

「気にしない気にしない! 亜樹が来たわ。右足どうだった?」

 保健室から来た亜樹が答える。

「軽い捻挫でしばらくすれば治るってさ。……試合は残念だったわね」

「それがねぇ亜樹、話が大分変わっちゃったのよ」

 麗奈は綾香達と話した事を亜樹にも説明した。


「へぇー、そうなんだ。……来月始めに行く予定だったんだから、半分自腹になってもいいんじゃない?」

「小遣いも貰う事だしね」山根も同調した。

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