臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 夏休みも残り一日となったが、康平は三日前に宿題が終わった健太と、彼の部屋でゲームとマンガ三昧の一日を送っていた。

 この日は日曜日なので部活も休みである。

 マンガを読みながら健太が康平に話し掛けた。

「康平、お前幾らお金貯まったんだ」

「ん? 三千円近くは貯まったんじゃねぇか」

 ゲームをしている康平は中ボスを相手に苦戦していて、他人事のように答える。

「亜樹の誕生日が九月九日で、今日は八月三十一日で日曜日だろ……! おい康平、ゲームやってる場合じゃねぇぞ」

 ドォォーン!

「一体どうしたんだよ」

 突然テンションが上がった健太の声でびっくりしたのか、康平は中ボスにやられて迷惑顔だ。


「康平、今日プレゼント買わねぇとヤベェんじゃねぇの?」

「まだ誕生日まで十日近くあんだろ」

「チゲェよ。次の土日でプレゼント渡さねぇとチャンスがねぇんだよ。お前、学校の中でプレゼント渡す勇気あっか?」

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