臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 ノンビリしている康平を健太が真剣に諭す。まるで、健太がプレゼントを渡す立場のようだ。

 だが、さすがに康平も気付いたらしく、慌ててゲームの電源を消した。


「……康平は、部屋に飾る物を買うつもりだったよな?」

「ん? まぁな」

「だったら、姉ちゃんの部屋に相談しに行こうぜ」

「え、でも真由さん自分で考えろって……」

「相談するフリして、姉ちゃんの部屋に飾っている物を見とくんだよ」

 健太も真由に似て相当シタタカである。

 康平が言った。

「ところで真由さんはいるの?」

「それは大丈夫だ。今日はレンタルでラブストーリー物を借りてたからよ。今頃煎餅でも食いながら見てるぜ」

「テレビを見ている姉ちゃんは、こっちを見ねぇからよ。しっかり部屋を観察しとけよ。……姉ちゃん入るぞ!」

 健太は、隣部屋の扉をノックしながら入っていった。

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