臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「今いいシーンなんだからさ、私に聞くより綾香ちゃんて女の子に聞きなよ。亜樹ちゃんの友達なんでしょ?」

 コーラと一緒に煎餅を飲み干した真由は、ようやく日本語を口にした。


 これ以上いると真由の機嫌が悪くなりそうだったので、二人は部屋から出た。

 扉を閉めて健太が言った。

「部屋に入るのは久しぶりだったから忘れてたけど、姉ちゃんの趣味の範囲は昔から滅茶苦茶広かったんだよな。……ワリィな、ありゃ参考になんねぇわ」

「そんな事より、真由さんが言ったように綾香に電話してみんのもいいかもな。……健太、ワリィけど電話してくんね」

「……俺さぁ、綾香に電話した事ねぇんだよな」

 尻込みする健太に、康平は無理強いしなかった。

「そうだな、お前綾香に電話すっとテンパりそうだからな。……俺が片桐って事で電話してやるよ。親が出てきたら明日の連絡って事で誤魔化すからよ」


 健太からクラスの連絡網を借りた康平は、綾香の家に電話をした。

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