臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 軽く顔を叩かれたので痛くはなかったが、予想外の事に康平は不思議そうな顔をした。


「アホ! ガードが下がってんだよ」

 飯島が笑わずに言った。


 頭の位置を変えるとガードが疎かになるのは、結構犯しやすい。

 口で言われるよりも実際に軽くても叩かれた方が、印象に残り、覚えの早い時がある。

 康平もそれ以降はガードが下がらなくなった。


 ラリアット攻撃をかわす練習が終わり、メニューはサンドバッグ打ちとミット打ちへ移行した。

 ミットを受けるのは二人の先生しかいないので、余った二人はサンドバッグを叩く。

 他の高校では生徒同士でミット打ちをするところもあるが、永山高校では先生しかミットを持たない。パンチを打つ筋肉と、ミットを受ける筋肉が違うという理由らしい。
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