臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 全校集会とHRが終わり、ボクシング部も休みだったので、康平は帰り支度をしていた。


 その時、川田が康平の席に歩いて来て口を開いた。

「康平、さっき内海を見たんだがハーフっぽくてスッゲェ可愛いよな。あんなコとデートしてたなんて、ホント羨ましいよ」

「い……いや、そんなんじゃねぇんだよ」

 康平は声を殺して否定する。そして、前の席にいる亜樹に視線を向けた。

 亜樹は康平達を見ずに帰り支度をしている。


「照れんなよっ! 内海だって楽しそうに買い物してたし、いい雰囲気だったぜ」

 川田は気を遣ってクラス奴等に聞こえないように話すが、一番聞かれたくない前の席の人が聞くには充分過ぎるボリュームだ。


「同じイケメンじゃない男として応援してっからな。頑張れよ」

 川田は、一言付け加えて帰っていった。

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