臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「うちの綾香もそうだけど、よく図書館なんかにしょっちゅう通えるよな」

「そういう俊也さんこそ、何で図書館なんかにいるんですか?」

 亜樹が笑いながら突っ込みを入れた。


「講義のレポートを提出しなきゃなんねぇんだよ。今回出さないとマジヤバくてな」

 俊也が真顔で答えた。

 続いて康平が訊いた。

「レポートは進んでいるんですか?」

「進んでるわけねぇだろ! 図書館はなぁ、雑談する所で勉強する場所じゃねぇんだよ!」

 不謹慎な事を、俊也はことさら大きな声で言った。

 亜樹と康平は周りを見ながら肩をすくめた。

 俊也が言った。

「やっぱ帰るわ。大学でレポートを書いた方が良さそうだしな。……それと康平に聞きたいんだが、昨日オメェが電話をよこした時俺なんか変な事言ったか?」

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