臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「……いえ、何も言ってないと思います」

「そうだよな。なぜかあの後、綾香の機嫌が悪くなったんだよ。一旦出掛けて帰ったらご機嫌だったけどな。……話は変わるが明日大学に戻るから、お前らとも暫く会えないからな。ボクシング部の奴等にも宜しく言っといてくれ」

 俊也はそう言って帰っていった。


 しばらく沈黙していた亜樹が口を開く。

「……綾香は、すっごく優しいのよ。友達の為にいつも自分を犠牲にしてしまうのよね。もし、綾香が康平と……」


 その時、綾香が二人の元へ走ってきた。

「やっぱりここにいたんだ」

「綾香どうしたの? 慌てちゃって」

「クラスで昨日の買い物を見た人がいて、チョット冷やかされたのよね。康平は大丈夫だった?」

「冷やかしはないけど、妙に祝福されたよ」

「二人共、昨日は楽しかったそうじゃない?」

「やっぱり亜樹も誤解してんのかなぁ。……康平、亜樹にバラしちゃうけどいいかな?」

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