臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「いいよバラしちゃって。……綾香も迷惑だったろうし」

「……迷惑なんかじゃないけど言っちゃうよ。昨日康平に頼まれて、二人で亜樹の誕生日プレゼントを買いに行ったんだ。本当は健太も来る予定だったんだけど、用事で来れなくなったんだよね」

「無理しなくていいって言ったのに。……でも有難う」

 恥ずかしそうにお礼をした亜樹だが、口許はほころんでいた。


「いや、どうしても図書館のお礼がしたくてさ」

「ホントにそれだけなの? 照れ隠しは損しちゃうよ!」

 突っ込みを入れる綾香に亜樹が笑った。

「綾香に突っ込まれる男の子って、康平が初めてなんじゃない?」

「康平は昨日、私にも似たような事を言われてんだよね。……それはいいけど、二人とも今日から図書館で勉強?」

「え? 勉強じゃないけど偶然よねぇ。そうでしょ康平!」

「あ、あぁそうだけど。プレゼントの話になってしまったから言うけど、今週の日曜日は此処に来れるかな? ……学校でプレゼントを渡すのは大変なんだよ」

< 47 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop