臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 学校から駅までの帰り道、一年生達は一緒に歩いていた。

 有馬が独り言のように呟く。

「俺、ボクシング部に入って良かったよ」

「いきなり何だよ、最近の有馬は俺の次に怒られてんのによ」

 健太に続いて康平も笑いながら話す。

「そうそう、最近白鳥が怒られなくなってきたからな。怒られランキングは現在二位だぜたぶん」


「……怒られんのも、嬉しいんだよな」


 ボソっと言った有馬に、三人は驚いた表情になった。


「あ、勘違いすんな。変な趣味じゃねぇからよ」

 有馬は弁解するように話を続ける。

「俺だって怒られんのより、褒められる方がいいに決まってんじゃん。……中学ん時は、先公達があまり相手にしてくれなかったんだよ」

「シカトでもされてたりとか?」康平が訊いた。


「そこまで露骨じゃねぇけど、何かヨソヨソしい感じだったんだよな。俺とダチのガラが悪いのもあったかも知れねぇけどさ」

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