臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 健太が言った。

「ダチって、ゲーセンで会った五人だろ? 確かに怖ぇ感じはしたけど話すと面白かったぜ」

「だろ! 俺もそうだけど、アイツらだってカッコだけでワリィ奴じゃねぇんだよ」

 有馬は友達を良く言われて嬉しいのか、顔が少しニヤけていた。


「ふつう……自分の事を悪い奴じゃねぇって言うかな?」


 康平と健太は、声の主に視線を向けてビックリしている。

 白鳥である。彼は、笑いながら有馬にツッコミを入れていた。


「ウッセェよ。言葉のアヤってやつなんだよ」

 有馬は驚いた様子もなく、顔を赤くしながら言い返す。


「俺、白鳥がツッコミ入れんの初めて見たよ」

 康平が言うと有馬が真顔で答えた。

「いや、週に一度位はあるんだよ。他人の話を聞いてないようで、たまーにツッコんでくるからタチがワリィんだよ」

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