臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 健太が言った。

「残念だなぁ。じゃあ今週は白鳥のツッコミがもう聞けないじゃん。……来週の分もここでツッコんじゃえよ」

「い、いや……そんな事言われても……」

 白鳥は注目されるのが苦手なのか、いつものようにモジモジし始めた。


「有馬と白鳥って、最初あんまり仲は良くなさそうだったよな。……四月頃だと電車も離れて座ってたしさ」

 康平に続いて健太も話す。

「しょうがねぇだろ。一方は学年トップの真面目君だし、もう一方は……」

 健太はもう一方を見て、話を躊躇してしまった。



「もう一方が何だってぇー?」

 有馬は一瞬健太を睨んでいたが、すぐに表情を戻して話し出した。

「怒ってねぇから心配すんなよ。俺も気を遣われない方が嬉しいしさ。正直白鳥みてぇなのは俺と別の人種って感じで、今でも苦手なんだけどよ。……ただ、コイツは散々ミットで叩かれてんのに弱音を吐かねぇから、少しは認めてやろうって思ったんだよ」

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