臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「前にゲーセン行った時、憶えてっか? アイツらと賭けをしていた話」

「九月まで部活が続いたらってやつだろ。あれ本気でやってたんかよ?」康平が言った。


「まぁな。奴らは皆、俺が辞めるのに賭けていたからな。どのみちアイツらにも俺がオゴるんだけとよ」

 有馬は満面の笑みを浮かべた。

 健太が控え目に質問した。

「その次の週ってわけにはいかねぇよな?」

「それは無理だな。アイツらも、バイトとか都合つけてきてっからよ。……じゃあ、来るのは白鳥だけだな」

「えっ、マジで白鳥も行くのかよ」康平が驚く。

「え……まぁ」

「俺が白鳥に、……いや、スーパーの奥さんの方に頼んだんだよ。あそこは奥さんがボスだからさ。そしたら喜んでくれてたぜ」

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