臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 続けて二度も同じ話を聞かされた康平は、咳が激しくなったようである。


 授業が終わってすぐに帰った康平は、翌日の土曜日も部活を休む。

 そのおかげで、日曜日の朝には康平の風邪も完全に治っていた。


 午前十時、康平と健太は、亜樹達と待ち合わせている自宅近くの駅(下田駅)に立っていた。

 健太は待っているのが退屈なようで、康平に話し掛けた。

「昨日さぁ、姉ちゃんに言われて亜樹のプレゼントを買いに行ったんだよ」

「え、健太は買う必要ねぇんじゃねぇの?」

「そう思うだろ? ……だが姉ちゃんに言わせっと違うんだよなぁ」

 健太は話を続けた。

「考えてもみろよ。今日四人集まって、その内二人が亜樹にプレゼントを渡すんだぜ。そうすっと、何も渡さない俺が薄情じゃねぇか?」

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