臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「確かにな」康平も納得した。


「だから昨日姉ちゃんにプレゼントを選んで貰ったんだよ。本当は康平と行くつもりだったけど、お前休みだったしさ。でも、こういう時の姉ちゃんの勘て凄まじいんだよな。これで綾香への印象もアップするわけだ。二千四百八十円は痛ぇけど仕方ねぇよな」


「ん、二千四百八十円? ……それって置き時計か?」

 康平は嫌な予感がして健太に訊いた。


「あぁ、猫がジャレあっている可愛い置き時計だぜ」

 健太は何食わぬ顔をして答える。更に康平が訊いた。

「時計はアナログだろ?」


 さすがに健太も気付いたようで、ダメ押しの確認をする。

「それで、全体がグレーで白い仔猫が二匹ってわけだ。……姉ちゃんの勘もここまでくっと、弟の俺でも怖ぇぜ全く!」


 同じプレゼントを買ってしまった二人は、苦笑した後無言になった。

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