臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
「君は変に誤魔化そうとしない方がいいわ! 私達の語学力も疑われそうだからね」
亜樹に続いて綾香も言った。
「康平は不器用なんだから正直に話した方がいいのよ」
「よかったわね康平! 今日は私も含めて三人の美女から突っ込まれて。……綾香さんや亜樹さんとは何だか気が合いそうだわ」
那奈は冗談のように話すが彼女もかなりの美女である。綾香程ではないが色は白く和風美人といった感じだ。今は裕也のいるボクシング部のマネージャーが大変なのか、長かった髪をバッサリ切っている。女性的な顔立ちのせいか不思議とボーイッシュなイメージはない。
その那奈が再び口を開く。
「ところで、綾香さんが『正直に』って言ってたけど、本当のところはどうなのよ?」
康平は亜樹と綾香を一瞬見た後に口を開く。
「……実は亜樹の誕生日プレゼントを渡したくて、ここに来て貰ったんだ。いつも行ってる図書館が休みなのもあったんだよな。なんだかんだで世話になってるからさ」