臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 健太の姉の真由である。

「康平、健太のバカが約束スッポカシちゃってゴメンね。あらあら、裕也に那奈ちゃんまで一緒なの?」

「真由さんお久しぶりです!」

 那奈がそう言うと裕也も一緒に頭を下げた。


 真由は亜樹と綾香を見て笑顔でオジギをした。

「はじめまして! 私、健太の姉で真由って言います。こんな綺麗なコ達と友達なんて、スンゴイ奇蹟だね。康平、紹介してよ。……あ、駄目だわ。……健太もそうだけど、康平に紹介させるとロクな事にならないから私が当ててみせるよ」

 康平を除く四人は顔を見合わせて笑った。


「えっと、背の高いコが亜樹さんで色の白いコが綾香さんでしょ? あ、二人の名前は健太から聞いているんだから、不思議に思わないでね!」

 真由の表現が康平と全く同じだったせいか、五人とも沈黙している。


「ん、どうしたの? さてはビンゴだったから驚いてんのかな」

 康平が言った。

「ビンゴだけど多分違うと思うよ。……ところで今、フルーツアンミツ食べに行くんだけど……」

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