臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 康平と健太の様子を見ていた那奈が、席を立ちながらポツリと言った。

「康平と健太が高校でも楽しくやってそうで安心したよ。私達、今から図書館に戻るからさ」


 裕也も立ち上がりながら健太と康平に訊いた。

「お前ら今体重何キロあんの?」

 康平が六十二キロ、健太が六十一キロとそれぞれ答えたのを聞いて、裕也は残念な顔をしながら話す。

「やっぱ俺とあんま変わんねぇんだな。……新人戦はライトウェルター級(六十四キロ以下)で出っからさ。今回、減量してくれた先輩の為に絶対優勝するつもりだからな!」

 不思議と最後の言葉には力が込もっていた。



 この日の夜、亜樹が康平の家に電話をした。


【プレゼントありがとね! この時計前から欲しかったんだ】

【いいよ。……亜樹には世話になったからさ】

【そう言えば、試合するかもしれない友達って裕也君だったの?】

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