臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
形式練習は有馬と白鳥が最初にコンビを組み、健太はグローブを外してストップウォッチを持つ。
「始め!」彼の声でラウンドが始まった。
梅田が康平に言った。
「まず先週教えた返し技の復習から始めるが、このラウンドはリターンジャブとブロッキングストレートだ。いくぞ!」
梅田がミットで左ジャブを康平に打つ。
康平は右のグローブでそれをブロックし、空いている左手でジャブを放つ。
梅田が顔の前に構えている右のミットへそれが命中した。
リターンジャブと教えられた技である。
今度は梅田が打った右ストレートを、小さく右に捻りながら左腕でブロックする。
左グローブを左耳の上に持っていき、肘をグッと前に出す。
顔は左前腕で防御するような形になっている。