臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)
 健太の家は商店街の並びにある定食屋だ。

 康平は、健太と一緒に居間に上がった。

 午後六時を過ぎたばかりで、店は刈り入れ時の為か居間には誰もいなかった。


「ちょっと待ってろ。姉ちゃんを探してくっからよ。……冷蔵庫の麦茶、勝手に飲んでいいぞ」

 そう言い残して、健太は二階へ上がっていった。


 健太の家の中は、雑然としていて大雑把に片付けられていた。忙しいのもあって、洗濯物もたたまないで隅に寄せてあった。


 逆に気を遣わないのでいられるので、康平にとっては心地いい空間だっだ。

 麦茶を飲んだ後、疲れが出たのか、康平はアグラをかいたまま、丸いチャブ台に両肘をついて眠ってしまった。


 五分程経ったであろうか。康平は背中に柔らかい重みを感じて目が覚めた。

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