Closed memory
「……本当に、入る気なの」
俺の数歩前を歩く蘭丸が、静かに言った。
蘭丸はきっと、あの事を言っているんだろう。
もう何度話したことか、覚えてない。
蘭丸だって、そう思っているだろう。
蘭丸はいつだって、俺に反対した。
それでも俺は、曲げるつもりは毛頭ない。
「ああ。お前には悪いけど、俺は俺の信念を貫きたい」
本心をそのまま言葉にすると、蘭丸は前を向いたまま、そっか……と囁いた。
それから暫く無言が続いたかと思うと、蘭丸がピタリと足を止めて、
「……それじゃ、俺も入るよ」
顔だけ振り向いて、俺に言った。