Closed memory
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「お前達の配属先が決まった。いいか、先に行っておくが、これは決定事項だ。文句は受け付けねぇ」
異論はないだろうなと、土方副長の無言の圧力を掛けられた俺たちは深く頷いた。
突き刺さるような眼力を向けられているせいか、上手く言葉が出ない。
「よし。まず、矢口……お前には、総長小姓をやってもらう。それと、山崎の元で医術を学べ」
「……俺が医術を、ですか」
土方副長は、頷くと壁際に座っている齋藤先生に視線を向けた。
「齋藤に【冬桜】とかいう薬を渡したそうだな。これは、お前が調合したのか」
「……は、はい。父が蘭方医でしたから」
蘭丸の父親のことは、俺も聞いたことがあった。
江戸で長年開業医をしていて、一昨年、不治の病である労咳で亡くなった……と。
「ほぉ……やはり多少は医術の知識があるのか。なら、尚更山崎から学べ。いいな?」
「……はいっ」
蘭丸が頷いたのを確認すると、土方副長は俺の方を見やった。