Closed memory
こんな俺をみたら、蘭丸がどう思うだろうか。
愚問だ。
「…せやな」
慣れた手つきで、山崎さんは蘭丸の身体を拭いていく。
やっぱり華奢な身体だった。
俺は、そんなこいつに守られたんだ。
「蘭丸は、お前の窮地を身を呈して救った。新選組は、自分が生きてナンボや。何でかわかるか?」
「生きて、使命を全うするため…
貫きたいものがあるから、その役は、自分以外の誰にも、譲れないから」
「俺も…同意やな。
やからこそ、そのための犠牲は付き物…。けど、自分から犠牲になりにいく奴なんて、そうはおらんぞ」
山崎さんの目が、険しく俺を睨んだ。
「これ以上こいつの前で性根を腐らせてみろ。俺が許さんからな」
全身の血が、さっと引く。
この人…なんで監察方なんてやってんだろ。
真っ先に、先陣切っていくのが、性に合ってんだろうに。
「ーーやぁ、やっぱりここにいた。
京くん、稽古の時間ですよ」