Closed memory

不純だと、笑われてもいい。
京は、俺の全てだから。


京のためなら、俺はなんだって頑張れるし、強くなれる。


強くなれば、京は俺を見てくれるでしょ?


強くなるよ。
京よりも、誰よりも強く。


そして、俺が京を守ってあげる。
ずっとずっと、いつまでもね。


そのためなら、どんな残忍な人間にだってなれる。


もちろん、京のためなら、犠牲になることだって、俺は厭わないよ。


だから、吉田の刀を受けた時も、俺は痛みなんて感じなかった。


京が無事ならそれでいい。


ああ…でも、残念だな。
こんなんじゃ、京の顔がよく見えないじゃないか。


『蘭丸…なんで』


声が聞こえた。
嗚呼…見えなくてもわかる、その声は京…京なんだろ?


なんて悲しそうな声で、俺の名を呼ぶんだ。


京、俺はここにいるよ。
京の隣で。


そこに寝ている俺は、ただの抜け殻。
魂は、京の傍にいる。


だから、泣くなよ。
怒るよ。俺を見てよ。


違う、そっちじゃない!
俺はこっちだ!!


京、俺を見ろよっ…!!
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