ラザガ
「あなたになら、見せてもいいわね」
そう言って、タツミは、手に持っていた資料の束を雄介にさしだした。雄介はそれを受けとり、素早く目を通した。
「これは……」
雄介の腕が、小刻みに震えだした。
「どう?殺しがいが……、いや、あなたの言葉で言うのなら、演出しがいがあると思わない」
「……いいんですか?」
「何が?」
「こんな凄いもの、僕が殺しちゃっていいんですか?」
「それを頼みにきたんだけどね……、あなた怖くないの?」
「怖い?そりゃあ、怖いですよ。こんな凄まじいもの、怖いに決まってるじゃないですか。でも、それ以上に面白い!僕が、あのジュオームを使ったに乗って、これを殺す?ははははははははっ!引き受けました!引き受けました!」
「そう、ありがとう」タツミは背を向けた。「じゃあ、ついてきて。あなたを八乙女研究所へ案内するわ」
二人は歩きだした。
振り返り、まだ小さく笑い声をあげながらついてくる雄介の姿を見てから、タツミは声をあげず、口の動きだけでつぶやいた。
二人目、地獄へようこそ。