ラザガ
「いい加減にしろ。策郎」
野太い声が響いたかと思うと、轟音と共に策郎の体が吹っ飛んだ。
破藤豊作が、策郎を殴り飛ばしたのだ。
策郎は壁にぐしゃっとぶつかり、床に落下した。ロケットランチャーも床に転がる。
豊作は策郎が叩き落としたナイフを拾うと、
「牙倉雄介。おまえも調子に乗り過ぎだ」
と言って、真上に向かって、ナイフを投げた。
しばらくすると、
「ぐっ」
と声をあげて、天井から雄介が落ちてきた。肩にナイフが刺さっている。
「おまえらよう、八乙女研究所に雇われたんだろ。ガキじゃねえんだから、仕事をなめてんじゃねえよ」
「どうしてぼくの居場所が分かったんですか?気配は完全に消したはず」
肩をおさえながら、雄介が立ちあがる。耳をほじりながら豊作は答える。
「どこが?においを簡単にたどれたし、空気の流れも丸見えだったぞ。髪も少し落としてたしな」
「……そんなものが、見えるんですか?」
「まあ、経験の賜物だわな」
策郎も、頭をおさえながらふらふらと立ちあがる。
「痛ってえ……。おっさん本気で殴ったな?うわ、これ絶対骨にヒビ入ってるよ」
「バーカ、おれが本気で殴ったら、おまえの首なんてとっくにもげてるよ」
「くそ、やっぱりおっさんにゃかなわねえよ」
そんな彼等の会話を、八乙女タツミは少し離れたところから見ていた。
怒りで肩が震えている。
「あ、あなた達ねえ……」