ラザガ
タツミに案内されて、三人は格納庫の地下へ降りていった。
暗闇の中、奈落の底へ続いていそうな長い螺旋階段をくだってゆく。それぞれの足音が、長く反響する。
「そういえばよ。兵器の名前の、ラザガってどういう意味なんだ?」
ふと気になって策郎が聞いた。
タツミは笑みを浮かべて答えた。
「いい質問ね。ラザガというのは、ある昔の剣豪が残した言葉よ。漢字で『羅残我』と書くわ。意味はこうよ。『修羅の如く 残酷に 我を貫く』。私はこの言葉が気にいっててね。開発に成功した、凄まじい新兵器の名前につけることにしたの」
タツミとパイロット達は、地下にたどりついた。
見渡す程の広大な空間が、そこに広がっていた。
床も、天井も、壁も、黒い鋼鉄でできている。
三つの滑走路があった。
その発進位置に、三台の機体が並んでいた。
巨大な戦闘機だ。
一台の全長が、五十メートルはある。
それぞれ色が違っていた。
赤茶色、青銅色、黄土色、と三種類。
「これが、ラザガ……」
雄介が圧倒されたようにつぶやく。
「こんなでけえのが本当に飛ぶのかよ」
豊作が眉間にしわをよせる。
策郎は、妙な既視感に襲われていた。赤茶色の機体。その色を、どこかで見たような気がするのだ。
タツミは三人に言った。
「さて、早速出撃してもらうわよ。敵はもうすぐそこに迫っているわ」
そして三人は、それぞれ自分に与えられた機体の方へ向かって走り出した。
策郎が乗るのは赤茶色の機体。
名前は『修羅号』
雄介が乗るのは青銅色の機体。
名前は『残酷号』
豊作が乗るのは黄土色の機体。
名前は『我王号』
三人は操縦席に乗り込んだ。