ラザガ
残酷号と我王号は、人面手首の上空まで接近した。
「さあ、豊作さん!行きましょうか!」
「おう!」
残酷号はミサイルを、一気に十発、発射した。
しかし人面手首は、虫のように素早く跳ね、それをよけた。
「今だ豊作さん!」
「おし、喰らえ!ボム!」
我王号は、真上からボム弾を落とした。
跳ねて空中にいる人面手首に、それはかわせない。
人面手首の赤子の顔は、眉間にしわをよせると、頬をふくらませ、思いきり息をふいた。
ゴオッと突風が巻き起こった。
五百キロもの重さのボム弾が、風ではねかえり、我王号に向かってくる。
「危ねっ!」
豊作はあわてて、我王号を動かし、ボム弾を逃れた。
ボム弾は雲の上まで飛ばされ、そこで爆発した。
「くそ!馬鹿でかい図体のくせして器用な化けものだな!」
「豊作さん!ぼくに考えがあります。奴の周囲にミサイルを打ちまくってください!」
「考えだと?」
雄介は、通信モニター越しにその考えを簡潔に話した。
「おまえの機体はそんなことができるのか……。よし、わかった。まかせとけ!」
我王号は、人面手首の周囲に向かってミサイルを連射した。
「おらおらおらおらおらぁっ!」
爆発爆発爆発。木々が、何十本とへし折れ、枝や葉と共に、えぐれた地面の土が舞う。
「まだまだまだまだだぁっ!」
さらに何十発とミサイルを撃ちつづける我王号。
爆発による煙が大量にわきあがり、人面手首の巨体を覆い隠す。