ラザガ
人面手首の視界を煙で隠し、隙を見つけて攻撃する。
それが雄介の考えだ。
煙に包まれた人面手首は、警戒の表情を浮かべながら、まわりを見渡していた。
やがて、煙が晴れた。
人面手首はとまどいの表情を見せた。
上空から、残酷号がいなくなっている。
我王号しか飛んでいない。
「どこを見ている!ぼくは下だぁぁぁっ!」
そのとき、人面手首の真下の地面から、巨大なドリルが飛び出した。
それは残酷号だった。
機首にドリルをつけた残酷号が、土砂を飛ばしながらあらわれたのだ。
人面手首はあわててかわそうとしたが、よけきれず、轟音をあげながら回転するドリルによって人さし指の肉をえぐられた。
けあああああああああっ!!
赤子の悲鳴が、こだまする。
説明しよう。残酷号は、機首に高性能のドリルを装備しており、それによって、地下に潜ることができるのだ。
「へえ、この化けものの血液って、赤いんですね。ぼく達と同じだ」
ドリルについた人面手首の肉片を見つめながら、雄介は残酷号を空中で停止させた。