ラザガ
ラザガ修羅は、後ろへ跳躍し、一旦人面手首から少し距離を置いた。
両肩に着いたシャッターが開き、そこから砲台が出た。
「ラザガミサイルッ!」
策郎が叫ぶと、砲台からミサイルが二発、発射された。
人面手首に向かって、勢いよく飛んでゆく。
人面手首は避けようとかまえた。しかしその時、赤子の顔が驚きに歪んだ。
「うおおおおおっ!」
ラザガ修羅が走り出していた。
そして、今発射したミサイル二発を追い抜き、拳を作って迫ってきた。
人面手首は、ミサイルとその拳とどちらに先に対応するか一瞬迷った。
その一瞬が、隙となった。
「ラザガァァァッ、パァァァンチッ!!」
赤茶色の拳が、人面手首の掌にぐちゃあと突き刺さった。
山を割ったその拳は、皮膚を破き筋肉を裂き内臓を潰し骨を砕き、人面手首の巨体を串刺に貫いた。
赤子の顔の喉を突き破り、拳が飛び出した。
あげぇぇ……げっげっ!!
くぐもった悲鳴が響く。
「ぬんっ!」
ラザガ修羅は、振り返った。そして、腕に刺さったままの人面手首を、盾のようにかまえた。
遅れて飛んできたミサイル二発が、人面手首の顔面に命中し、爆発した。
げええええええっ
甲高く汚い悲鳴。赤子の顔が黒く焦げ崩れる。
爆風が収まると、ラザガ修羅は、腕をブチャッと引き抜いた。
策郎は満足げに微笑んだ。
「ああ、すっきりした。よし飽きた。おまえもう死ね」