ラザガ
ラザガ修羅の、口の部分がガパァッと開いた。そして、そこから、何か棒状の取っ手のようなものが飛び出した。
「ラザガトマホーク!」
血にまみれた手で取っ手をつかみ、ひっぱる。
口の中から、長いトマホークがズルゥッとひきずりだされた。
五十メートルもの長さを持つ、黒光りするトマホークだ。
ラザガ修羅は、それを振り上げた。
けえええええっ!
人面手首は力を振りしぼって跳躍した。
振り下ろされるトマホーク。
ぎりぎりのところで、人面手首はそれをかわした。
着地し、すぐに逃げ出そうとした。
しかし、体が前に進まない。
おかしい。
指を動かす感覚がない。
人面手首は指を見下ろした。
絶望に目を見開いた。
五本の巨木のような指が、全て切り落とされており、血を巻き散らしながらのたうちまわっていた。
さっき確かに人面手首はトマホークをかわした。しかしトマホークが起こした風圧が怪物じみたカマイタチを巻き起こし、指を五本共切り落としたのだ。
遅れて、切断された指の付け根に激痛が襲ってきた。
げああああああああああああああああっ!!
人面手首は泣き出した。
けたたましく響きわたる赤子の泣き声。
策郎は眉をひそめた。
「馬鹿が。素直に当たってりゃあ、苦しまずに逝けたのによ」
ラザガ修羅は、トマホークを肩に抱えた。そして、指を失い、ただの醜い肉塊となった人面手首に向かって歩き出した。
早くとどめをさしてやるつもりだった。
その時だ。