ラザガ
ラザガ残。
その姿は、まるで青銅色の甲冑を纏った騎士のようだった。
全体的に細身である。
両手の全ての指先に、細長く鋭いドリルが着いている。
瀕死の人面手首は、荒い息を吐きながら、眼前に着地したラザガ残を見上げた。そして、青ざめた。
首が無かった。
ラザガ残には、頭部が無かったのだ。首の部分は、暗い空洞になっていた。欠損しているわけではない。そういう設計なのである。
その姿は、冷たい不安を感じさせた。ラザガ修羅が鬼だとすれば、このラザガ残は幽鬼だ。
「おい、雄介!もう勝負はついてんだろ!いまさら何しようってんだ!?」
策郎がいらただしげな声をあげる。
「決まっているじゃないですか」雄介が囁く。「拷問ですよ」
「なんだとっ!?」
「奴らの仲間がどこにいるのか?なぜ八乙女研究所を襲ったのか、教えてもらわないと」
ラザガ残は、人さし指を立てた。
「……ラザガドリル」
雄介のつぶやきと同時に、人さし指のドリルが急速に回転を始める。そのドリルを、肉塊と化した人面手首の顔に近付ける。
雄介が人面手首に話しかける。
「あなた、さっき、ジュオームビームと言ってましたよね?資料を見て、知ってるんですよ。赤ちゃんみたいな顔をしてますけど、あなたの脳はジュオームエネルギーを浴び、進化し、知能を得ている。言語も理解しているはずです。教えてください。あなたの仲間はどこにいるんですか?あなた達の目的は何なのですか?」
凄まじい速度で回転するドリルの音に震えながらも、人面手首は決死の表情で答えた。
「お、お、お、おまえなんかに、おお、おしえないよ、ばーか」
「そうですか」
ラザガ残はドリルを赤子の顔の右目に突き刺した。