ラザガ
「ははは、見てくださいよ!この化け物、漏らしてますよ!」
雄介は腹をかかえて笑った。
人面手首は、気絶したまま、糞尿を垂れ流していた。ラザガ残は、人面手首をゆっくりとひっくり返した。
人面手首の、掌の下のほうに、肛門らしき、穴があった。ひくひくと動いている。
「へえ、こんな化け物にも、排泄器官はちゃんとついているんですね。面白い」
ラザガ残は、再びドリルを回転させはじめた。
「おい、雄介。何考えてるんだ?」
豊作が低い声で聞く。
「拷問はまだ終わってませんからね。起こしてあげるんですよ。穴に、ドリルを刺しこんでね」
「……いいかげんにしろ」
策郎がつぶやく。
「これは人類のためなんですよ。こんな怪物をのさばらせておくわけにはいけないでしょう。だから、早くこいつらの本拠地を聞き出して、叩かないと。ぐずぐずさてたら、人類は滅ぼされますよ」
「どうでもいいんだよ!そんなことは!おれの目の前で吐きそうになるくらいだせえことしやがって!やめろ。すぐにやめろ!だせえんだよ!てめえのやってること見てると、ださくて死にそうなんだよ!ださ死にしそうなんだよ!やめろ!即やめろ!やめやがれ!」
ラザガ残は、無視して、激しく回転するドリルを人面手首の肛門にぶちこんだ。
ぎゃきゃっ……ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああうっ!!
ひどい、赤子の悲鳴。
肉と血と糞尿が飛び散る。人面手首は涙を流し、ちぎれた指の根本をぐねぐねうごめかせながら悶えた。
「雄介ぇぇぇぇぇぇぇっ!ぇぇぇぇ!!」
策郎が立ち上がり、怒鳴った。
その時、巨大な拳が飛んできて、ラザガ残のドリルをはじきとばした。
それは、ラザガ修羅の腕だった。
ラザガ残の右腕が、赤茶色のラザガ修羅のものに変形し、ドリルで人面手首をえぐる左腕を殴り飛ばしたのだ。
策郎の怒りがハイテンションチェンジシステムを動かし、右腕だけをラザガ修羅のものに変形させたのだ。
タツミはぼうぜんとした表情でつぶやいた。
「そんな……腕だけの変形?こんな無茶なラザガチェンジができるなんて……」