ラザガ
雄介も、驚きで一瞬絶句した。しかし、すぐに目を血走らせ、叫んだ。
「邪魔をするなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!策郎ぉぉぉぉぉぉ!!」
ラザガ残の左腕がドリルを右腕に向けて突きだした。
「うるせえぇぇぇぇっ!!雄介ぇぇ……、てめえはおれを怒らせたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ラザガ修羅の右腕は、ドリルを手で受け止めた。しかしドリルの回転は止まらない。鋼鉄を削り、ばちばちと火花が散った。指の隙間から、ぶしゅうっとオイルが血のように漏れだした。
「うらぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
策郎は怒鳴りながら、操縦捍を叩きつけるように倒す。
ラザガ修羅の右手は、その機械の指を凄まじいパワーで握りしめた。
ドリルの回転が止まった。そのまま、ドリルはグシャァッと握り潰された。
「ああ、ぼくのドリルが……」
雄介がうめく。
ラザガ修羅の右腕は、潰れたドリルから手を離すと、拳を作り、それを人面手首に向かって思いきり叩きつけた。
ぐしゃっ……
最後にびくんと、大きく痙攣して、人面手首は動かなくなった。
死んだのだ。
「ああ、ああ、死んじゃった……。ぼくの楽しみが……」
雄介は力が抜けたように呟き、操縦席にもたれた。放心したように上を向く。
策郎は、無言で人面手首の死体を見下ろしてから、ため息をついた。