ラザガ
大量に浴びせられたそれは、光なのに、はっきりとした感触があった。物凄い熱を持ったそれは、目から、鼻から、口から、耳から、毛穴から、排泄器官から、全身の穴という穴からルークスの体内に入ってきた。血管が、神経が、熱でぶちぶちと焼き切れてゆくのが分かった。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
ルークスは床を転げまわり血を吐いた。全身を激しくかきむしった。縫い目がいくつか、ちぎれ、血が流れだした。
光は、ルークスの体内をうごめき、骨を、肺を、胃を、心臓を乱暴にまさぐった。
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて。
光が体内を駆け上がり、喉の奥、目玉の裏を通って、脳に触れた。すると、それに喚起されたかのように、いままでの暗い記憶がいっきにふきだしてきた。捨てられた記憶。裏切られた記憶。殴られた記憶。凌辱された記憶。殴られた記憶。切りきざまれた記憶。殴られた記憶。軽蔑された記憶。殴られた記憶。蹴り飛ばされた記憶。踏みにじられた記憶。殴られた記憶。
憎しみが、膨れだす。
なんでだよ?なんでだよなんでだよなんでだよなんでだよなんでだよなんでだよなんでだよ!
なんでぼくばかりがこんなめにあうんだよ?
よわいからか?ぼくがよわいこどもだからか?だからみんなぼくをいたぶるのか?
拳を握る。弱々しく、床を殴る。
ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう………ちくしょうっ!!!
力が欲しいかい?
声が聞こえた。
光が、ルークスに話しかけていた。
力が欲しいかい?
ルークスは、泣きじゃくりながら、うなずいた。