ラザガ


竜児は、涙を流し始めた。


「うっ……、うっ……」


そして、拳を握り、上を向いて叫んだ。


「うらやましぃぃぃぃっ!!」


「はあ?」


豊作は、眉をひそめた。


「うらやましいうらやましいうらやましぃぃぃぃ!!!いいなぁ、タツミのやつ!!あのデス・サンを喰らって死んだのか!いいないいないいないいないいないいないいなぁぁぁぁ!!」


「…………」


「…………」


「…………」


三人共、この男が何を言っているのか理解できなかった。


竜児は、両腕を広げ、目を輝かせながら、大声で語った。


「おれのじっちゃんが言ってたのさ!自分が産み出した、最高の武器、兵器でぶち殺される!残酷に!グロテスクに!これこそ!おれ達のような武器兵器製造者!破壊の芸術家にとって理想的な死様じゃねぇか!ってね!同感だね!ハードに同感だね!タツミのやつ、デス・サンで焼死かぁ!さすがジュオーム研究者!おれ達八乙女一族のにふさわしい死に方じゃあねえか!デス・サン喰らったときってどんな感じだ!?手触りは?熱いんだろうなあ!味は?熱いんだろうなあ!匂いは?熱いんだろうなあ!」


「うるせえぞ、てめえ!いつまでとち狂ったこと怒鳴りちらしてんだ!」


通信マイクのボリュームをあげて、策郎が一喝した。


竜児は、我にかえって、モニター越しにこちらを見た。


「……ん?誰だ、おまえら?」


「ラザガのパイロットだ!!さっき話しただろうが!!」


怒鳴りすぎて、策郎はむせてせきこんだ。かわりに、雄介が聞いた。


「ところで、八乙女研究所の第三支部というのは、どこにあるんですか?見たところ、それらしい建物は見当たりませんが」


「ああ、ちょっと待ってろ!いま落とすから!」



「……落とす?」


雄介は首をかしげた。


竜児は、何かボタンを押すような動きをした。
それから数秒後。
ラザガマシン三機は、巨大な円形の影に覆われた。湖面に落ちたその影はすごい勢いで大きくなってゆく。
三人は上を見上げた。








空から島が降ってきた。





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