ラザガ


「大丈夫。こんな姿になっちゃったけど、その代わりに、僕達は凄まじい力を得ることができた。もう、誰も、僕達をいじめたりはできないよ」


「……本当?」


「ああ、本当さ。僕達は、もう、弱い子供なんかじゃない。超常エネルギー体、ジュオームの力を身につけた、そう、ジュオームチルドレンだ。僕達は、今、限りなく自由なんだよ」


「……自由?」


今まで不自由な思いしかしてこなかったため、リリーにはルークスのその言葉が、いまいちピンとこなかった。だから、不安はまだ消えていなかった。


「でも、でも、私達みたいな化け物を見たら、大人の人達は、私達をこ、殺そうとするよね?」


「だろうね。でも殺せやしないよ。自分の体をよく見てごらん。ほら、ジュオームの力が満ちているだろう?」


リリーはうなずいた。
確かに、とてつもない力が、体内にみなぎっているのを感じる。
それでも、不安は消えなかった。


「でも、でも……」


「人間が、怖いんだね?」ルークスは、あわれむようにつぶやいた。「気持ちはよく分かるよ。僕も、物心ついた頃から、まわりには残酷な人間しかいなくて、毎日いたぶられて、いたぶられて、いたぶられて、生きるのが怖くて、でも生きるたくて、………地獄だった」


「…………」


「君も、似たような人生を送ってきたんだろう?だから、ジュオームの力を得ても、人間が怖いんだよね?」


「……うん」


リリーはうなずいた。


「じゃあ、滅ぼしちゃおうよ」


ルークスは、にっこりと笑って言った。


「え?」


「人間を滅ぼしちゃおう。地球を、僕達ジュオームチルドレンだけのものにするんだ。そうすれば、もう誰も君をひどい目にあわせたりはしなくなる」




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