3つ目の願い事
目を開けると、そこは大好きなサクラの木の前。
木を見上げている葵がいた。
「葵・・・・・。」
葵はこちらを振り向くとびっくりしたように目を大きく見開いた。
「姉ちゃん・・・?」
「うん。」
「なにやってんだよ!!俺らがどんだけ心配したと思ってんだよ!!
こんなとこいないで、母さんのとこいってやれよ!!
毎日毎日、姉ちゃんの手握りながら泣いてたんだぞ!!」
不思議と、涙は出てこなかった。
それより、葵が泣いていることにとても驚いた。
「ねぇ、葵。このペンダント、覚えてる?」
私は首にかけていたペンダントを見せながら言った。
お父さんの生きていた証。
「葵が小さいときに壊しちゃってね。
あのとき、ずーっとごめんなさいって泣いてたよ。」
「何で今さら、そんな話・・・。」
顔を赤くしている葵を見ながら話し続けた。
「今日、ごめんね。死ねば言いなんていっちゃって・・・。」
「俺こそ・・・ごめん。
姉ちゃんあんなことになって、これすら言えなくなっちゃって・・・。
言えてよかった・・・」
そうしていると、誰かの手が私の肩に触れた。