3つ目の願い事
*葵視線*
姉ちゃんが亡くなってから2週間。
ずっと元気がなかった母さんも少しは元気になり、外を散歩していた。
あの、桜の木がある公園へ入った。
姉ちゃんと俺が喋った最後の場所。
母さんとベンチに座り、そのときのことを話した。
「そっか。そんなことがあったのね。」
「でも、不思議だよな。意識が戻ってもいない姉ちゃんが
なんで、ここに来たんだろう・・・。」
「さぁ?お父さんとおねえちゃんに聞かなきゃわかんないわ。
じゃあ、帰ってお昼の支度でもしましょうか!!」
「おう」
そう言って立ち上がると
『葵・・・がんばって。ずーっと見守ってるから。』
姉ちゃんの声がしたような気がして俺は桜の木を振り返った。
(今・・・姉ちゃんがいたような・・・・。)
「どうしたの?葵・・・」
(俺、まだ姉ちゃんに頼ってる。
だめだ。それじゃあ結局何にも守れない。)
「ううん、なんでもない!!」
(姉ちゃん。忘れないよ。
俺1人の力で守っていく。これも。母さんも。思い出も。)
笑顔で振り返った葵の首もとで、月の形のペンダントが輝いていた。
-ENDー