オレンジ
オレンジ
隣の席の、黒木柚。


真っ黒のロングヘアで、目鼻立ちも整っている、いわゆる“美少女“。

当然、思春期真っ盛りの高校生の男子らには、人気があるようで。


「超美人じゃん!俺はああいうタイプ好みだぜ?」


俺の肩で喋ってるのは、友達の那綱賢。

まぁコイツが相当の女好きで。


「さらっさらの髪してるよな!美人度MAXだよー………」


オマエの“美人度“の基準が万国共通と思うなよな、まったく。


………確かに、かなりの美人だけど、
毎日の様に見ている隣の席の俺はもう見飽きた。

最初の頃は、見とれてたりはしてたけど。




そんな黒木の、秘密を知ってしまった。


秘密だなんて、おおそれた事では無いかもしれないけど。


「………黒木」

「………何?」

帰りの準備の途中に呼び止めたからか、
少し不機嫌そうに反応した。


そんな怖い顔作んなよ。

綺麗な顔してるから、本気で怖い。


「……オマエさ、いつもオレンジの香りがするよな。」




そう。

黒木の横を通り過ぎると、いつもほのかな香りがする。


最近気付いた、香りは甘いオレンジの香りだって。
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