オレンジ
屋上
その日はとてつもなく暑かった。


まだ6月だっていうのに、夏と勘違いした蝉が鳴いている。


俺はとても勉強する気にはなれず、
頭が痛いと嘘をついて、屋上へ避難した。


ここの屋上は、どんな暑くったって風が吹いていて涼しい。



高く設置されたフェンスに手を掛けて、外を見渡す。


空にはオレンジ色の雲が広がっていた。



「…………ねぇ」


不意打ちだ。


いきなり後ろから声を掛けられて、
びっくりして後ろを振り向くと、


「……何しにきたの?」


やっぱり、黒木がいた。


「……何しにって……黒木こそ何しに来たんだよ?」

「私は……涼みに来た」


さらりと言う黒木。


長いロングヘアが風になびいていた。


「サボりじゃないか。」

「……あなたもじゃない」
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