*続*先生、甘い診察してください
かなりの長期戦になっちゃうだろうな……。
「あの……」
ギュッと、遠慮がちに掴まれた白衣。
「歯…抜くんですか……?治療、できないですか……?」
多分、根っこしか残ってない歯の事を言ってるんだろうな。
「まさか~。抜くわけないよ。ちゃーんと全部、治るからね」
まだ詳しく診察したわけじゃないけど、絶対に抜いたりはしない。
「必ず綺麗に治してあげる。だから、安心して。ね?」
安心したのか、夏依ちゃんは泣き出した。
「まずは、ここの雰囲気から慣れようか~。また3日後くらいに来れる?」
「えっ……」
「最初は診察はせずに、こうして呑気に世間話でもしようか~。で、慣れたら診察台に座る練習をしてみようか。少しずつ慣らしていこうかぁ」
少し間を置いて、夏依ちゃんは小さな声で「はい」と言った。