追いかけても追いかけても


由紀が気まずそうに朝のことを教えてくれる。

「朝2人が一緒に登校してきたの。で、八代さんにどういうことか聞いた子がいたんだけど…八代さん、照れたように笑うだけでなんにも話さないんだよね…」

八代さんの方を見ればまだ周りを囲まれている。
奏多はいつから八代さんといたの?

「奏多に聞こうかと思ったら、あゆがきたから。あゆ、奏多のとこに聞きに行こ?」

私は今奏多の顔を見れば泣いてしまいそうで首を振って教室から出た。
その後を由紀が慌てて追いかけてくる。


「あゆ、帰るの?なら私も帰るから一緒にいよ」

私の手を取ると騒がしい学内から連れ出して校門まで連れて行ってくれた。
まだ登校してくる人はいるけど大学にまでなれば帰る人がいても気にする人はいない。

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