美術部ってさ!3
第三章〜上下関係がない…ヘタすると、横の関係もない〜

「美術部顧問の仕事って?」

「…お前、失礼だな…あるよ、あるに決まってんだろ?」

美術部顧問の榎本は、手持ちぶさたにイスを持って来ると、椿の隣に座った。

「え…でもオレ、先生が何かアドバイスとかしてる所、見た事ないけど?」

椿は冬馬の少し後ろにイスを置いて、油絵を描く様子を見ていたが、フラフラと美術室に入って来る榎本を見つけると、声をかけたのだった。

並んで腕を組んだ二人は、冬馬の絵を見ながら話を続けた。

「し、失礼な…いろいろあんだよ、特に冬馬の代の奴らは何てゆ〜か、いろいろあってなぁ〜」

榎本は頬杖をついて、ため息をつくと美術部員を見渡した。

話が聞こえていたのか…部員の絵を描く手が止まったのは、気のせいだろか…?

「…何で冬馬は、赤面してるんだ?」

椿は、筆を持った手で、顔をおおって赤面している冬馬を見て首を傾げた。

「…何ていうか、申し訳ないというか、お恥ずかしいというか…」

冬馬は自分の絵を見つめたまま、そう呟いた。
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