恋愛事案は内密に
「……で、どうしてこんなこと、しようと思ったんですか?」
所長の車に乗り、もう少しで自宅のマンションに着く頃、近くの公園の駐車場に車を止めた。
運転席と助手席の窓を少しだけ開けた。
すでに夜の帳はおり、日中の暑さを吸収し排出した熱がこもっていた。
外に出るものだと思っていたけれど、所長はシートベルトをしたままだった。
「私が考えて行動したことです。ただ、それだけです」
「むつみさんに都合のいい資料はあの部屋にはありませんよ」
公園の駐車場の街灯に淡く照らされた所長の横顔はどこか悲しそうだった。
「ちゃんとセキュリティーが守られてること、知っててやったんですか?」
「ええ」
営業所だからといって社外秘のものを安易に外に出すなんてことをすればその先に待っていることはわかる。
壁に掲げられていた小さなホワイトボートに行動予定表があって、そこには所長が戻る時間が事細かく記入されていたのも知っていた。
絶対にみつかるとわかってわざと入室した。
「僕が所長だからそんなことしたんですか」
「……はい」
所長の車に乗り、もう少しで自宅のマンションに着く頃、近くの公園の駐車場に車を止めた。
運転席と助手席の窓を少しだけ開けた。
すでに夜の帳はおり、日中の暑さを吸収し排出した熱がこもっていた。
外に出るものだと思っていたけれど、所長はシートベルトをしたままだった。
「私が考えて行動したことです。ただ、それだけです」
「むつみさんに都合のいい資料はあの部屋にはありませんよ」
公園の駐車場の街灯に淡く照らされた所長の横顔はどこか悲しそうだった。
「ちゃんとセキュリティーが守られてること、知っててやったんですか?」
「ええ」
営業所だからといって社外秘のものを安易に外に出すなんてことをすればその先に待っていることはわかる。
壁に掲げられていた小さなホワイトボートに行動予定表があって、そこには所長が戻る時間が事細かく記入されていたのも知っていた。
絶対にみつかるとわかってわざと入室した。
「僕が所長だからそんなことしたんですか」
「……はい」