恋愛事案は内密に
最初に出会った頃よりも、所長の力強く話す姿は数段自信に満ち溢れているように思えた。

「実行の手はじめに、もう少し今日は僕の気の済むまで残業してもらいますから。もちろん、報酬はたっぷりとお支払いします」

私の顔をのぞきこんでいる。

顔をそむけることもできず、私も所長をみつめた。

もう少し早く所長にこたえて告白していたら、傷つかなかったかもしれない。

「私、所長のこと」

「だから何度言ったらわかってくれるんですか。今は業務時間を過ぎています。告白はあとでたくさん聞かせてもらいますよ」

所長の考えていた通りのプランが動き出しているのだろうか。

それとも最初からもうプランは進んでいたんだろうか。

続きは私が所長に告白してからわかるのだろうか。

話す間もなく、所長は私の首筋に唇や舌を這わせ、味わいはじめていた。
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