恋愛事案は内密に
どうして僕じゃダメなんだろう。

駒形さんにあって僕にないものがあるんだろうか。

恋なんかしないほうがいいんだろうか。

でも、どうしても求めてしまう。

自分の理想の女性に合うまでは。

「そんな趣味してたんだ、政宗くん」

なんて引かれてしまうこともあった。僕だって男なのに。

少しだけグラスに残っていたカクテルを飲み干す。

内側からかあっと熱くなったのか、気がつけば涙が頬をつたっていた。

会計を済ませ、帰る。

ロビーを出てすぐのところに女性が倒れていた。

きれいな人だな、と思った。

そばに銀色のネックレスが落ちていた。

あとで届ければいいかと思ってジャケットのポケットへ入れてしまった。

家に帰ってポケットのものを取り出そうとしたとき、指に銀色のネックレスが絡まった。

あのあとバーへいって返さなくちゃと思っていたけれど、僕との仲をつなげてくれるとは思ってもみなかった。
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