あの頃の君へ
それだけのことなのに、拓真がやるだけでどうしてか胸がキューンとしてしまう。
やっぱり可愛い……
って違う。流されてどうする。
ブルブルと首を振っていると、拓真は目を細めて私を見上げていた。
「何してんのよ?」
「え、えーと、自分との闘い?」
「……あっそ。つか早く風呂入れば?今は乾いてきたけどまだ濡れてんじゃん」
そう言ってついに飲むのを諦めて、コーヒーを冷ますことした拓真は、立ち上がって私の髪を一束すくった。
「……っ!」
すぐ間近に拓真の顔があって、思わず後ずさる。
「ふふっ、何?」
「い、いや……?別に?じゃあ、お風呂行ってきまーす」