あの頃の君へ
あ、そうだった。
拓真は昔から寝起きが悪い。
はぁー、もう何しても無駄だな。
いっか。今日は別に何もないしね……
全身を包まれている感覚に陥ってそれが思いの外、心地がよく私も素直に目を閉じた。
「おはよ」
目の前にはまだ少し目がトロンとしている拓真。
さっきと少し体制が変わって、今度は向かい合わせに腕枕をされている形になっていた。
「ぅわ!ごめん!腕重いよね」
ガバッと起き上がり、何だか恥ずかしくて髪を触ると隣で拓真も起き上がった。
呑気に伸びをして欠伸をしている。
……こんなの慣れてるってか?
「はぁ……」
「あ、俺アレ食べたい。あの絶妙な不味さのフレンチトースト」
不味さって……
「へいへい悪うございましたね。もう、拓真の方が料理上手なんだから拓真が作ってよ」